20.その他法律問題

2018年2月27日 火曜日

電話で無料法律相談できる弁護士は少ない(2)

前回記事「電話で無料法律相談できる弁護士は少ない(1)」で、電話相談に対応している法律事務所が少ない理由を説明しました。

それでも電話相談を希望する人はどうすればよいのか。
今回はその点に触れてみます。


弁護士に(無料で)電話相談したいという人は大体次のパターンに分類されます。

(A)大したことのない質問なので法律事務所に赴く手間が惜しい
(B)弁護士に対応可能な問題なのかどうかを先に確認しておきたい
(C)仕事が忙しくて平日の日中に法律事務所に赴く時間が取れない
(D)入院等していて物理的に法律事務所に出向くことが困難である



そして、電話での法律相談に対応している事務所が少ない理由は次のとおり。

(1)電話相談の体制を取るとはコストがかかる
(2)受任に繋がらず弁護士側にメリットがない
(3)電話相談では正確なアドバイスができない



この(A)~(D)の分類、(1)~(3)の理由を踏まえて、対応方法を見ていきます。



(A)大したことのない質問なので法律事務所に赴く手間が惜しい
電話相談の希望で一番多いパターンがこれです。
相談者自身が「大したことのない質問」と考えているわけで、事件性はほぼありません。

これに該当する方は、自分の聞きたいことをGoogle等で検索することをお勧めします
電話相談可能な弁護士を探すより手間がかからず、おそらくそれで事足ります。

それで納得できない方はがんばって電話相談可能な弁護士を探してください。
前記(1)をクリアできる新興大規模事務所等で対応可能な場合があります。
ただし、(2)(3)の理由があることに留意してください。
相談可能な分野は収益性の高い分野に限定されていることがほとんどです。
また、美味しい事件と判断されたら(3)を理由に来所相談を勧められるはずです。



(B)弁護士に対応可能な問題なのかどうかを先に確認しておきたい
これは(A)寄りなのか、(C)(D)寄りなのかによって変わってきます。

(A)寄りの方は(A)と同じ対処で構いません。

(C)(D)寄りの方は事務所に行けない理由を受付の事務員に伝えてください。
あなたの状況や相談内容に合わせた方法を提案してもらえると思います。



(C)仕事が忙しくて平日の日中に法律事務所に赴く時間が取れない
弁護士に特にこだわりがなく、夜間や土日なら法律相談に行ける場合。
夜間休日対応の法律事務所を探してください。
電話相談ができる法律事務所よりは簡単に見つかるはずです。

相談したい弁護士がいるけれど、営業時間内に相談に行けなさそうな場合。
とりあえず問い合わせて、営業時間外に対応してもらえるか聞いてみましょう。
内容によっては営業時間外でも対応してもらえることがあります。



(D)入院等していて物理的に法律事務所に出向くことが困難である
事務所に行くことができない理由を受付の事務員に伝えてください。
どのような対応方法があるか、説明してもらえるはずです。

また、交通事故で入院していて弁護士費用特約(弁特)付きの保険がある場合。
受付の事務員にそれを伝えてください。
かなりの高確率で弁護士が病院等への出張法律相談に応じてくれます。
法律相談の費用は保険会社の負担となるので、その点を悩む必要はありません。




大体こんな感じでしょうか。

現在、当事務所では電話での法律相談は受け付けていません。
以前、試験的に電話相談を受け付けてみたことがあります
しかし、相談の質が大幅に下がり、電話が鳴り続けて仕事にならないのですぐに打ち切りました。

(A)の方の法律相談希望の電話は全てお断りしています。
(B)(C)(D)の方にはそれぞれ適切と思われる対応を取っています。
遠方にお住まいの方が2回目以降の相談で電話相談を希望した場合、これをお受けすることはあります。

私もそれなりに多忙の身なので、電話相談には対応できないという点をご理解ください。
その分の時間と手間は、私を信頼して事件を依頼してくださった方のために回しています。


弁護士が電話相談を基本的に受け付けていないのには相応の理由があります。
電話相談可能な弁護士を探している方は、上記を参考に対応を検討してください。


対面での法律相談を希望される方は「ご相談の流れ」をご参照ください。
初回概ね1時間程度、無料とはいえ手を抜かず、弁護士がしっかりとあなたの相談内容を伺います。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2018年1月26日 金曜日

電話で無料法律相談できる弁護士は少ない(1)

弁護士の電話相談を希望する人は一定の割合で存在します。
一方、電話での法律相談に対応している法律事務所はほとんどありません。

なぜ、弁護士は電話での法律相談に消極的なのでしょうか。
電話相談に対応している法律事務所が少ない理由を以下に挙げてみます。


(1)電話相談はコストがかかる
法律相談に対応できるのは弁護士だけです。
弁護士資格を持たない事務員やパラリーガルは法律相談を実施できません。

時々弁護士会や地方自治体が無料電話相談を実施することがあります。
このときは電話相談用の弁護士を用意して電話口で待機させます。
担当弁護士は他の仕事をせず、電話の前で電話が鳴るのを待ちます。
そして、電話の有無にかかわらず、拘束時間に応じた日当が支払われます。

普通の事務所はこんな無駄なことはしません。
弁護士がやるべき仕事は他にいくらでもあるからです。
まともな電話法律相談の体制を取ると無駄なコストが発生するのです。


(2)受任に繋がらず弁護士側にメリットがない
最近は初回無料法律相談を行う法律事務所が増えています。
法テラスや役所での定期的な無料法律相談もあります。
弁護士が無料法律相談に対応するのは、それが事件受任に繋がる営業活動だからです。

同じ無料相談でも、電話相談と対面相談では異なっている点があります。
それは、悩みに対する相談者の切迫度や真剣さが全然違うということです。
端的に言って、電話相談を希望する人の相談内容は基本的に受任に繋がりません
時間と手間を取られて利益は生み出さず、弁護士側のメリットに乏しいのです。


(3)電話相談では正確なアドバイスができない
法律相談では相談者が持参した資料にきちんと目を通すのが鉄則です。
相談者が口で説明した内容を鵜呑みにするようでは弁護士失格と言ってよいでしょう。

交渉でも訴訟でも物証が成否勝敗を左右するので、法律家は物としての証拠を重視します。
人間は見間違い、聞き間違い、記憶違い、言い間違いをします。
電話口で書面を読み上げたとしても、重要部分の説明を抜かすこともあります。
弁護士が資料を確認できない電話相談ではまともな法的アドバイスは期待できないのです。



他にもいくつか理由はありますが、大きなところとしてはこんなところです。

要するに、
①無料電話相談はコストがかかる割に、
②重要な悩みではなく受任に繋がらず、
③正確で適切なアドバイスができない。

だから無料電話相談を導入している法律事務所は少ないのです。



それでも、
「弁護士に(無料で)電話法律相談をしたい」
という方はいるでしょう。

そういう方はこの問題にどう対処すればよいのか。
少々長くなりましたので、この点は次回記事にて述べさせていただきます。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2014年3月11日 火曜日

傍聴のススメ

 この原稿を書いている平成25年12月現在、ドラマ「リーガルハイ(2期)」が最終回を迎えております。
 実務と異なる点は当然多々ありますが、弁護士の視点から見てもとても面白いです。
 こういった弁護士ドラマ等を見て、裁判でも傍聴してみようかと思い立つ方もおられるかもしれません。

 傍聴は基本的に自由です。
 予約は不要ですし、身分確認もありません。
 ふらっと訪れて、開廷している適当な法廷に入り、好きな席に座って裁判の様子を見聞きするだけです。
 他人の裁判を眺めるだけというのもなかなか面白く、手軽に非日常的な雰囲気を味わえるため、傍聴マニアというものも存在します。
 今回は傍聴に行く際の注意事項をいくつか。

 まず、傍聴自体は基本的に自由ですが、一応厳粛な場ですので、その空気を乱す人間は裁判官によって排除されます。
 突然叫んだり、法廷内をウロウロしたりするのは論外としても、「居眠りをしている」「ニヤニヤするのを止めない」といった理由で退廷させられた傍聴人もいました。
 裁判官から直々に「出て行け!」と言われるのはなかなか恥ずかしいので、なるべく神妙な態度でいた方がよいでしょう。

 次に、傍聴するなら刑事裁判が絶対にお勧めです。
 というのも、民事裁判ではリーガルハイのように弁護士が滔々と主張を展開したり、尋問で演説よろしく自己主張したりすることはありません。
 主張は書面でやり取りし、尋問も必要なポイントに絞って聞くので、部外者からはどういう事件で何をやっているのか、ほとんどわからないまま手続が進行します。

 その点、刑事裁判は冒頭で検察官が概要を述べてくれます。
 尋問で泣き崩れる証人もいれば、悲しい過去や境遇を語り、あるいは異次元の弁解を展開する被告人もいます。
 運が良ければ、最後に裁判官が胸熱な訓辞説教で締めてくれることもあります。
 各当事者が虚実ないまぜに役割を演じている様は、ちょっとした舞台劇と言ってもよいかもしれません。

 課外授業で傍聴に来ている中高生を見かけると、「異議あり!」などとサービスしたくなりますが、そうそう異議など述べる機会はなく。
 せめてもと声を張って、多少なりともドラマ的弁護士を演じられるようにしています。
 弁護士も(おそらく裁判官も検察官も)観客がいた方が気合も入りますので、興味のある方はぜひ傍聴に出かけてみてください。

(『蒼生 1月号』掲載記事)

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2014年2月19日 水曜日

憶えたてのキミの番号

 突然ですが、皆さまは自分の自宅やケータイ以外の電話番号をいくつ覚えているでしょうか。

♪ とにかく公衆電話まで行こう 確かコンビニが近くにあった
 憶えたてのキミの番号 もうソラで言えるかな!? ♪

 槇原敬之が『雷が鳴る前に』でこう歌ったのは1992年、もう22年も前のことです。
 ケータイやスマホが発達した今、連絡先は記憶するものではなく、メモリ任せという人がほとんどでしょう。

 普段の生活ではそう問題ありませんが、連絡先を覚えていないことでとても困ってしまう場合があります。
 それは、警察に身柄拘束されて一定の条件が揃ってしまったときです。



 逮捕されて警察署に連行された場合、身柄拘束されたことを家族等に連絡してもらうことができます。
 ここで覚えている番号がなく、更にケータイを使えない状況にあったりすると。
 連絡してもらえないので、当然周りは逮捕の事実を知り得ないことになります。


 その後、弁護士が刑事当番等で接見に行った際に、外部の人間への伝言があるか聞くのですが...

「○○に面会に来るように伝えてください。電話番号?覚えてません。でもケータイには登録してあります。」

 と言われることがよくあります。



 この場合、取り得る対応は概ね次の3パターンです。

①刑事に被疑者のケータイを操作して番号を弁護士に伝えるようお願いする
②被疑者がケータイを宅下げして、弁護士が番号を控えてから差し入れする
③捜査の過程で警察官に上手いこと何とかしてもらう


 この中では①が比較的楽なのですが、警察署によってやってくれる場合と断られる場合があります。
 なぜ署によって対応が違うのか疑問でしたが、最近、留置管理課の警察官から話を聞いて理由が判明しました。

「以前そういう対応を取ってやったら、『警察官がいじってケータイが壊れた』と難癖付けられて、以後禁止となった。」

 うーん、さすが大阪、ヤカラに死角なし。
 比較的緩い警察署だとこれで教えてくれることもありますが(それでも渋ります)、断られることの方が多いです。


 ①がダメとなると、次は②です。
 宅下げ+差し入れの手続を取るのが若干面倒ですが、宅下げさえできれば目当ての番号はわかります。
 ところが...ケータイが証拠品として押収されていると、還付されるまで宅下げができないのです。

 また、私は未経験ですが、『宅下げできたが電源が切れていた』場合。
 充電できる場所を探さねばなりませんが、多くの弁護士が当番接見に行くであろう夜間はショップも閉店しています。
 となると、一旦持ち帰って翌日以降ショップ等に行き、後日改めて警察署まで差し入れに行くことになるのか...
 被疑者国選ならともかく、不受任なら費用も出ないのに時間と交通費を費やす羽目になるという恐ろしい事態に。


 最後の手段が③です。
 例えば、取り調べで警察官が『参考として』ケータイを被疑者に提示する。
 ケータイのメモリを開いて任意の連絡先を被疑者が確認する。
 被疑者がその番号を読み上げて、「ここに連絡してください。」と言う。
 これを受けて、警察官がその連絡先に逮捕の事実等を電話する。

 やってくれるかどうかは担当の刑事次第です。



 面会や差し入れを家族に頼みたい。
 しばらく欠勤することを勤務先に伝えたい。
 それなのに番号がわからず連絡ができない、というのはかなり歯痒いはず。

 万一に備えて、せめてどこか1か所くらいは、キミの番号をソラで言えるようにしておくことを推奨します。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2013年11月 7日 木曜日

婚外子への平等相続は家族制度を崩壊させるか

 平成25年9月4日、非嫡出子(婚外子)の相続分を嫡出子の半分とする民法900条4号を「違憲」とする最高裁決定が出ました。
 
 これに関して政界では、いわゆる保守派の議員が今回の最高裁決定を受けた法改正に反発している模様です。

 中学校で習う三権分立や違憲審査を理解できていないのではないかと心配になってくるような暴論は見なかった振りをして差し上げるとして、私が気になったのは「家族制度が崩壊する」という意見です。

 論理の流れがはっきりしませんが、
 「最高裁に従った法改正をすると、婚外子が増えて家族制度が崩壊する。」
のだそうです。


 今回の最高裁決定や法改正を受けて、
 「よし、これで子どもの相続分は平等になるから、心置きなく浮気して子どもを作れるぞ!」
と考える人が続出するとでも言うのでしょうか。
 
 そんな馬鹿なこと、あるわけがないでしょう。
 子どもの法定相続分のことを考えながらセックスする特異な性癖の持ち主がいるなら、是非一度お目にかかりたい。
 その方はきっと私が見たことも聞いたこともないようなサイケデリックな世界観を語ってくれるはずです。
 


 民法900条4号が意味を持つのは、嫡出子と非嫡出子が同時に存在する場合に限られます。
 (例:父Xには妻Aと浮気相手Bがおり、Aとの間の子C、Bとの間の子Dがいる。)
 (例:父Xは前妻Aと死別した後、女性Bと事実婚状態に入り、Aとの間の子C、Bとの間の子Dがいる。)

 したがって、非嫡出子しかいないようなケースでは民法900条4号の問題が生じることはありません。
 (例:父Xには事実婚状態の女性Bがおり、Bとの間に子C、子Dがいる。)
 (例:父Xは女性Yとの間に子Cを設けた後にYと別れ、次に女性Bとの間に子Dを設けたが、Xは誰とも結婚していない。)

 家族制度を守りたいなら後者のパターンをどうにかすべきなのですが、残念ながらこれは今回の最高裁決定と無関係です。
 最高裁決定と家族制度崩壊を結び付けるには、最高裁決定(あるいは法改正)『によって』人々が婚外子を積極的に作るようになり、『その結果』家族制度が崩壊する、という因果の流れが必要なのですが、それが全く見えません。



 一方、事案の具体的内容から最高裁決定を批判する意見もあります。
 今回争われた事件は、概略次のような事例でした。

 「父Xと妻Aは婚姻していたが、Xは浮気相手Bと肉体関係を持った。
  XとAとの間には子C(嫡出子)と子D(嫡出子)がいた。
  XとBとの間に子E(非嫡出子)と子F(非嫡出子)が生まれた。
  AはXの経営する店舗で身を粉にして働いていた。
  XはAを家から追い出してBを迎え入れ、Aを冷遇した。
  その後Xは死亡し、民法900条4号の合憲性が争われた。」

 AやC、Dが気の毒だから、EやFの相続分をC・Dと同等にするのはけしからん、という論調です。

 しかし...どう考えても悪いのはX(あるいはB)でしょう、これ。
 X(あるいはB)がひどいことをしたとして、その責をEやFに負わせようというのは八つ当たり以外の何物でもありません。
 EやFは親を選べないし、生まれる前のことはどうしようもないのですから。

 仮に、これとは逆に、B・E・Fが妾とその子としてAらからいじめられていたと言うケースだったらどうでしょうか。
 Bに相続権はなく、E・FはC・Dの半分の相続権しかないことになりますが、この場合のE・Fは気の毒ではないのでしょうか。

 こういう個別のケースで公平妥当な結論を目指すため、従前の家庭環境を考慮して審判で相続分を決めようとか、あるいはそのための立法を検討しようとか言う話ならわかります。
 ですが、それを法律の合憲違憲の話に飛躍させるのは無理があります。

 「親の不貞の罪は子が負うべし」
 「妾の子は差別されても仕方ない、むしろ差別すべきだ」
という考えに基づく見解であるなら、もはや論外と言わざるを得ません。



 私は、「万人はすべからく平等でなくてはならない」などという考えを掲げるつもりはありません。
 生まれながらの能力差、家庭環境、努力の程度や偶然の作用で各々の人生や幸福度に差異は生じます。
 生き物なのだからそれは当たり前のことであり、そこに行き過ぎた平等意識を持ち込んでも歪な平等が生まれるだけです。

 ただ、己の意思では如何ともし難い、出自のみを理由とする不条理な不平等があるのなら、それを是正することに大きな問題があるとは思えません。
 今回の最高裁決定は、過度の平等を強いるものではなく、法令違憲の判断は当然の帰結と考えます。


 仮に、今回の最高裁決定で家族制度が崩壊するようなことがあったとしても。
 それは、人々が家族制度なるものにその程度の価値しか認めていなかったことの証左となるだけのことでしょう。
 本当に素晴らしい価値あるものであるならば、最高裁決定ごときでその輝きが色褪せることはないはずですので。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

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