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2017年7月 4日 火曜日

5周年

士道法律事務所の開設から丸5年が経過しました。

5年というとそれなりにまとまった年数のように思えますが、今にしてみればあっという間だったなという気がします。

振り返ってみると、実に色んなことがあった5年間でした。



相談件数や顧問先の数も着々と増えてきているのは実にありがたい話です。

「依頼者のためにできる限りのことをしよう」

そのように努めてきて、その結果が一つの形として表れていると考えれば喜びもひとしおといったところでしょうか。



これまでにご縁をいただいた依頼者、顧問先の方々とは、これからも良好な関係を築いていけるように。

まだ見ぬ未来の依頼者の方には、法律相談で当事務所の扉を叩いていただくことが良き出会いのきっかけとなるように。

士道法律事務所は一歩ずつ前に向かって進み、確かな足跡を残していきたいと考えています。

皆さま、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2017年6月16日 金曜日

民泊をめぐる法律問題(1)~民泊が注目される背景事情~

昨今、「民泊」という言葉を目にする機会が増えてきています。

「民泊」とはどういうものなのか。
違法行為なのか、適法行為なのか。
法律上、どのような問題点や注意点があるのか。

何回かに分けて見ていきたいと思います。


「民泊」というのは、元々は「民家に宿泊する(させる)こと」の意です。
もっとも、近年問題となってきているのは、「宿泊料を徴収して観光客等を自宅や賃貸物件に宿泊させるビジネス・副業」のことを指しますので、この記事ではこの意味に限定して「民泊」という言葉を使います。

「民泊」というものが注目を集めるようになった背景事情はいくつかあります。
その中で最も大きなものは次の2つです。

・日本を訪れる外国人観光客の急激な増加
・既存宿泊施設の収容能力不足


直近2016年の年間訪日外国人観光客の2403万9053人(日本政府観光局統計データ)。
10年前、2006年の年間訪日外国人観光客数、733万4077人から実に3倍以上の増加です。

この急激な訪日外国人観光客の増加にホテルや旅館等の宿泊施設の収容能力拡大が追い付かず、宿泊施設確保の代替的手段として、あるいは訪日外国人観光客のニーズ(主に料金面での要望)に応える形で、「民泊」が注目を集めるようになってきているのです。

日本を訪れる外国人観光客を増やすことは、国家戦略としても取り上げられています。
旅館業法の特例として適法に民泊を行えるようにするための法改正を行う、といったものがその表れです。

しかし、法律の改正・制定も、訪日外国人観光客増加のペースに追いつかず、ビジネスチャンスの到来とばかりに民泊に手を出す人が増えてきていることもあり、法的にはかなり微妙、というよりむしろ問題のある状況が目に付くようになってきている、というところです。


次回から、民泊を規制する法律の概要と、民泊を取り巻く法律問題について順次触れていきたいと思います。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2017年4月17日 月曜日

弁護士費用特約について

以前、交通事故に関するコラムの中で『弁護士費用特約(弁特)』というものについて少し触れましたが、今回は弁特についてもう少し掘り下げてみます。


弁特とは、任意保険のオプションの1つで、交通事故被害に遭った人が相手方・相手方保険会社との示談交渉や裁判を弁護士に依頼する際の弁護士費用をこちら側の任意保険会社が負担してくれる、というものです。


保険会社によって若干内容は異なりますが、1件につき300万円まで保険会社が弁護士費用を肩代わりしてくれます。
弁護士費用が300万円を超えるケースというのは、寝たきりになるほどの重い後遺障害が残るような重大事故に限られてきますので、大半の交通事故の弁護士費用は補償の範囲内に収まることになります。


弁特が最も有用性を発揮するのは、停車中の追突事故、横断歩道の巻き込み事故等の過失ゼロの事故です。

完全な被害者となった場合、あなたが自動車の任意保険に加入していても保険会社は何もしてくれません。
自動車の任意保険は加入者が『加害者』となったときのためのものだからです。

しかし、弁特があればこういうケースでも自己負担なく弁護士に依頼できるため、安心して治療に専念できます。


弁特が驚異的なのは、「デメリットがほとんどない」という点です。
唯一デメリットとなり得るのが保険料ですが、弁特の費用は月額150円程度。
これだけの負担で実質無料で弁護士を使えて、補償対象は被保険者のみならず家族親族も、弁特を使っても以後の保険料は上がらず、しかも弁護士に交渉を任せれば慰謝料額が裁判基準まで引き上げられて示談金額が大幅増額。
余計な心配かもしれませんが、保険会社は赤字にならないのかが気になります。


実は、弁特の加入率は約8割にも上りますが、その利用率は0.05%と異常に低く、弁特を使えるのに使っていないケースが相当数あると推測されます。

弁特の利用者が増えると、最終的には弁特を売り出している保険会社が慰謝料増額の負担を被ることにも繋がるので、加入はさせても積極的に利用はさせていない、ということかもしれません。


保険会社の事情はともあれ、被保険者からすればきちんと保険料を支払っているわけですし、弁特は使わないと損なので、事故に遭ったら自分や家族が加入している保険を一度チェックしてみましょう。

(『蒼生 2017年1月号』掲載記事)

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2017年4月17日 月曜日

残業代請求について(1)

今回は残業代請求について。

労働者を働かせられる時間は、原則として一日8時間、一週間40時間が上限となっています。
これを超えて労働させることもできますが、それには三六協定というものを締結したり、時間外労働について個別の合意をしたりする必要があります。

こういった合意があれば上限を超えた労働をさせることができるようになりますが、本来の時間制限を超えた部分の労働時間については、割増した賃金を支払わなくてはなりません。
割増率は、通常の時間外労働と深夜(午後10時~午前5時)労働が125%。休日労働が135%。
組み合わせによって重複が認められたり認められなかったりします。

どんな職場、どんな職業でも必ずこれが認められるというわけではなく、変形労働時間制を採用している職場や、一定の職業や地位に該当する人には時間外割増賃金が認められないことがあります。

相談者から未払い残業代の相談を受けた場合には、相談者の職種や地位、給与体系を確認した上で、実際にどの程度残業をしていたのかを確認することになります。

残業時間を確認・立証する資料として最もよく用いられるのはタイムカードです。
タイムカードが実際の労働時間を反映していない場合には、正しい労働時間を立証できる資料、例えば日記やメールの送受信履歴、印刷日時の印字されたコピーといった代替資料の有無が鍵となります。

これらの資料が揃っていれば、次に残業代を計算することになります。
相当に複雑な計算が必要となるので、今の時代、弁護士でも手計算で残業代を計算している人はほとんどいないのではないでしょうか。
私の事務所では、専用の残業代計算ソフトを用いて計算を行っています。

このような下準備を整えて、使用者に未払い残業代を請求することになります。
下準備はなかなか大変ですが、これをきちんとしていれば大体交渉段階で一定額の金員は支払ってもらえ、仮に訴訟や労働審判となってもほとんどが和解で決着するというのが残業代請求の特徴です。

未払い残業代を請求するまでの概略はこのような感じです。
残業代請求については論点が多いため、記事を2回に分けて、次回は残業代請求の裁判上の手続や使用者の反論当について触れる予定です。

(『蒼生 2017年4月号』掲載記事)

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

2017年3月15日 水曜日

弁護士が解説する刑事事件の流れ(6)~保釈その2~

前回の「弁護士が解説する刑事事件の流れ(5)~保釈その1~」に引き続き、今回も「保釈」について解説します。
裁判所が保釈を認める決定を出した、というところから話を始めます。

保釈請求書を裁判所に提出して、保釈が認められると、大体次のような許可決定が出ます。



 保釈許可決定
被告人 〇〇

被告人〇〇に対する〇〇事件について、弁護人〇〇から保釈の請求があったので、当裁判所は検察官の意見を聴いた上、以下のとおり決定する。

 主文
被告人の保釈を許可する。
保証金額は金〇万円とする。
釈放後は、下記の指定条件を誠実に守らなければならない。これに違反したときは、保釈を取り消され、保証金も没取されることがある。

 指定条件
被告人は、〇〇に居住しなければならない。住居を変更する必要ができたときは、書面で裁判所に申し出て許可を受けなければならない。
召喚を受けたときは、必ず定められた日時に出頭しなければならない。
逃げ隠れしたり、証拠隠滅と思われるような行為をしてはならない。
海外旅行または3日以上の旅行をする場合には、前もって裁判所に申し出て、許可を受けなければならない。
〇〇(被害者、共犯者等)とは、弁護人を介する場合を除いて、面会、電話、文書、電子メールその他いかなる方法によるとを問わず、一切接触してはならない。

 大阪地方裁判所 裁判官 〇〇



保釈許可決定が出る場合、保釈保証金(保釈金)の金額も同時に定められます。
被告人の経済状況にもよりますが、100万~300万円程度が中心的な金額帯です。
これを納めないと、身柄は解放されません。
当たり前ですが、「分割払いするので先に身柄解放を......」と言うことはできません。
減額の申し入れはできますが、経済状況が厳しいならば普通は保釈申立の時点でこれについても言及しているはずです。
それを踏まえての決定となりますので、減額に力を注ぐより、指定された金額の工面に努める方がいいでしょう。

本人の預貯金で保釈保証金を用意できない場合、次のような手段を検討することになります。

①家族、親戚、知人、金融機関からの借入
②日本保釈支援協会等の立替機関の利用
③全弁協保釈保証書発行事業の利用


①は何も難しいことはないので、②と③についてのみ解説します。


②は、日本保釈支援協会等に保釈保証金の立替を申し込む方法です。
審査が通れば、弁護人の預り口座に立替金が送金され、それを保釈保証金に充てることになります。

この方法を使う場合の注意点としては、以下のようなものがあります。
・被告人以外の者が申し込みをしなくてはならない(被告人以外の申込者が、没取の場合のリスクを負う)
・手数料を支払わなくてはならない(中心的な金額帯で、2か月ごとに4万~8万円程度)
・審査を通れば必ず全額を立て替えてもらえるというわけではない(一部自己負担を求められることもある)



③は、全弁協に保釈保証書の発行を申し込む方法です。
審査が通り、裁判所が保釈保証書による代納を許可し、自己負担金(保証金額の10%)を預託すれば、保釈保証書が発行され、これを裁判所に提出することになります。

この方法を使う場合の注意点としては、以下のようなものがあります。
・申込時に収入や資産に関する資料を提出しなければならない
・担保機能が不十分であることを理由に、裁判所が代納を許可しないことがある
・自己負担金は必ず用意しなくてはならない(ただし、後日返還される)
・手数料を支払わなくてはならない(保証金額の2%)



保釈保証金を納付し、または保釈保証書を代納して保釈されたら、
絶対に指定条件を破ることがないよう細心の注意を払って生活してください。

・出頭日と再就職先の面接日が重なり、裁判所に連絡せずに出頭をすっぽかした
・自宅を指定住所としていたのに交際相手の家に入り浸っていた
・被害者が友人や家族で、謝罪ならいいだろうと気軽に連絡を取った


指定条件を守って生活し、そのまま刑事訴訟が終われば、判決がどうであれ、保釈保証金は全額返ってきます。
しかし、指定条件を破ると、上記のようなケースでも、保釈保証金は没取(没収)され、保釈は取り消されます

刑事訴訟の手続は本当に厳格です。
「転居のことを弁護士や裁判所に連絡するのをうっかり忘れていた」
「ちょっとした挨拶や、反省の態度を示すことくらいなら大丈夫かと思った」

といったぬるい言い訳は一切通用しない、くらいに厳しく考えてください。


次回は、「被告人勾留」「公判」について見ていきます。

投稿者 士道法律事務所 | 記事URL

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